鍼灸院のブログ

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マッサージと無資格者

20年くらい前、私が今の業界に足を突っ込む前と比較して、リラクゼーションマッサージの店が本当に増えたなー、と思います。。
私が病院に勤めていた頃のマッサージのイメージは、温泉やホテルで行うものというイメージが強く、私自身も疲労を癒す目的というイメージが強かったです。

以前ここでも書いたことがあるのですが、マッサージは単なる慰安でなく、押す・さする、揉むなどの手技で、重い症状が緩和されたりもするので、慰安だけではなく不定愁訴に対応できる手技であると思います。
http://d.hatena.ne.jp/hiro2315/20120625/1340650309

マッサージ店が増えてきて思うのは、世の中のマッサージに対する誤解みたいなものです。
最近分かってきたのですが、一般的な認識では、マッサージをしてもらうと気持ちが良くて、終わると肩や腰などの痛みなどの違和感が取れるはず、と思っているのかなと。

私の中では、慰安のマッサージと身体調整のマッサージは境界線もあり、両者が重なるグレーゾーンもあります。
気持ちいいと思ったけど治ってない、という意見がよく聞かれますが、それはそのマッサージが慰安寄りだからです。ここの所を間違えていると、行う側にも受ける側にも不幸なことになります。(治して欲しいのによくならなかった、全然気持ちよくなかったなど)。

実は来月、地域のボランティアの出展があり、マッサージの出店的なものを頼まれました。私以外に新宿区に本社がある某大手マッサージ業者さんにも依頼されたのですが、連絡が取れずに結局は来ないようです。

その業者さんは以前無資格のマッサージ師を大量に雇って、摘発されたこともある所です。
私は無資格だからダメということはないと思いますが、現在の無資格者はあまりにも安易なようです。
私の整体の先生も無資格者ですが、身体・病気に関する知識や経験が半端じゃないです。
昔の無資格の先生はたぶん資格がない分だけ、有資格者よりもかなり努力をされているのでしょう。

それが今は経験なしで時給制などで安易に雇われています。まあ家庭でも肩揉みなどするくらいなので、疲労に対するマッサージは別段問題はないと思うのですが、少々高齢の方、関節が変形しているような方、血管の病気を持っている方などを相手にするのは問題があると思います。
時々耳にするのは、指圧で骨を折ってしまうとか。まあ可能性がゼロとは言えませんが、普通はないと思います。なぜならば、骨が折れるような点に加圧をすることはないに等しいからです(肋骨が折れるといいますが、筋肉がついているのは肋骨と肋骨の間であり、筋肉の繊維の方向を考えれば、そこに加圧されることはないから。しかし骨粗鬆症などの例外があります)。

マッサージという言葉の範囲はあまりに広すぎて、一緒くたにされすぎている感があります。
家でも出来るマッサージを教えてください、と言われたことがあって、ツボの位置や押し方などを教えたことがありましたが、すぐにやって真似はできませんでした。それはマッサージと言うのも技術や知識に裏打ちされる部分があるからだと思います。
銀座の料亭に行ったときに、「家庭でできる煮物の作り方」を教えてよ、という客はいないと思います。プロとしてやっている以上はそういうものだと思うのですが、言葉の定義の広さと店舗の乱立で、どうもこの辺が曖昧になっているような気がします。
(まあ後にマッサージを教えてでなく、ストレッチなどの体操を教えて欲しいという意味だったのか、とこちらも誤解している部分もあったのですが)。

ちなみにマッサージと一口にいっても、筋肉か筋肉の間かツボと呼ばれる部分なのか関節なのか、押すのか揉むのかさするのか引くのか、動きを加えていくのか、力を使わされるのか、筋肉を伸ばすのか(ストレッチ)、どのくらいの時間やるのかなど、考えるほど多岐に渡るものです。

一般に大手の会社はそれなりに安心感がある、と思われがちですが、この業界の大手の会社はここ数年のブームの間に乱立してきた後発組です。ビジネスという概念を業界に持ち込んだ人たちです。この人たちはおそらくマッサージ業でこけても、会社をたたんで別の業界に行くだけだと思います。

ただお客さんの側から見て、なんとなく安心感があるのはチェーン店だと思います。私も以前は飲食店に入るならチェーン店かな、と思ったりもしました(今は個人営業の店の方が好きで
す)。食の問題などを考慮に入れると、必ずしも大手がいいのかな、などと考える必要もありそうな気もします。
そういうこともいろいろ考えていかねばいけないのだな、と思います。