貧血は食事で治す、薬で治す
最近聞いた話です。
某患者さんで、難病を中心にかなり多くの病気の経験がおありになる方。
年齢は80代。
血液検査にて、血中のヘモグロビンが低いので入院となりました。
ヘモグロビンは酸素を身体に運ぶために必要な血液中の物質。
服薬で補なうのでなく入院ということは、結構値が低かったのでしょう。
病院で輸血をして、いわゆる正常値には達しないけれどもさしあたり退院。
最近かかりつけの診療所で検査をしたところ、ほぼ正常値に戻ったとのこと。
その間、それに対する処置は特になかった。
患者さんのお嫁さんが昔栄養学を学んでいたとのことで、雑把に栄養素の割合を変えてみたそうです。
栄養(タンパク質)を示す数値(アルブミン)は一定だったので、栄養素は一定でヘモグロビンの割合が上昇したことになります。
これに対して、かかりつけの医師はとても驚いたそうです。
「食事で改善するのか、信じられない」と。
たぶん医療に関わりのない人がこの話を聞いたら、「やっぱり食事は大事なんだねー」くらいの感想だと思います。
何がいいたいかというと、
「専門家ほどいわゆる常識から少しでも外れた考え方をしにくい」
「そしてその常識が自分が若い頃につくられたものである」
ということです。
今回の話で言うと、小さい数値の大小ならば食事でなんとかなるかもしれないけれど、基本的に大きく外れた場合は「薬物療法」以外の手段はこの医師の頭になかったということです。
ちなみにあらゆる業界に言えることですが、全ての医師がそうだという訳でないのはもちろんのこと。
他の例をあげると糖尿病。
今まで看護師の方から、「(ある患者さん)インスリン今月さぼってたけど、血糖値変わらなかった」とか。
「(別の患者さん)お金がなくなってご飯食べてなかったら血糖値下がってたよ」とか。
結構ありうることだと思うのですが、びっくりしてました。
これは、「治らないと言われる病気の人は薬を飲み続けないと身体に異変が起こるから危険」という思い込みによるものだと思います。
そしてその思い込みを作ったのは、長年現場で仕事をしてきて、「処方された薬は毎日飲み続けるのがあたりまえ」という常識が頭にできあがっていて、それを疑うことは少しも考えていないからだと思います。
だから「薬は良くないから食事で治せ」みたいな極論に走るわけではありません。
人体に関することはケースバイケースであり、常識的な視点をふまえつつ、いろいろな可能性を考えなければいけない、ということです。
特に病院に長期で通う人の場合、ダラダラと長く続くなる前に一度考える必要があると思います。
ちなみに、理学療法士(いわゆるリハビリの先生と言われている人)の人は、「運動信仰」がわりと強い気がします(今は分かりませんが)。
鍼灸師の人達だと、「病院では治らない、科学では解明できないことを重視する」方達が結構いる気がします(最近はそうでもないかも)。