鍼灸院のブログ

旧ブログで現在更新は停止してます

寝たきりの人

新年初ブログとなってしまいました。
光陰矢のごとしです。

訪問で行っている寝たきりの人について書きたいと思います。
(ご本人の許可をいただいて書きます)

脊髄の損傷のために、手足などの筋肉が著しく低下したり、
自分の意思と関係なく、ときどき足がピーンと伸びてしまう方です。
手足の動きの範囲にも制限があり、肘や手指は完全に伸びきらないです。

その方、ともかく塗り薬が好きで、
痛いと言っている、右肩に毎日塗っていたそうです。
スーっとする感じがいいみたいです。

初回。30分くらいのうち、多くの時間を右の腕と肩、残りの時間を首から左腕にかけて行いました。
”イタギモ”と言われ、満足していただけたようです。

それから2週間おきに2回行ったあと、肩は大分柔らかくなり、ほとんどバンザイできるくらい腕が上がるようになりました。
それでも塗り薬は塗っていたようです。

この方、実は左の肩の方が固く、動きも悪かったのですが、ともかく右肩の訴えが強かったので、左の肩にシフトしつつも、右の肩も継続していきました。といっても右肩は3分程度、本人が痛いという所を押しただけです。

それから2回後、あれほど塗り薬にこだわっていたのに、一切塗らなくなりました。最初の時は、脚なんてやらなくていいと言う感じだったのが、脚の方に比重が高くなり、今はほとんどできなかった寝返りなどもやるようになりました。

この方、車椅子で座る際に姿勢が傾くのを気にしていたので、周囲は座る練習をと言っていたのですが、本人は練習を嫌がっていました。最近では、こちらが提案した事を断る事はありません(本人のこだわる右肩も少しだけ触っています。

私はこれを”霧が晴れた”とよく表現します。霧があるうちは、目に見える所しか意識できない。霧が晴れると、それ以外の所に目が行くようになるのです。本人がこだわっていた塗り薬も氷山の一角でしかないということです。

本当に人の身体は、まだまだ分からないことの方が多いと思います。

今年もよろしくお願いします。遅いって(笑)