鍼灸院のブログ

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治癒の速度

東洋医学自然治癒力を引き出す。
ということが言われますが、まさにその通り、と実感します。

病院であれ、診療所であれ、施術院であれ、
そこに来る人は「早く治りたい」と思ってくるのですが、
この「早く」という言葉が曲者でして。

私も鍼灸を学ぶ前に鍼灸に持っていたイメージって、
「鍼をブスッと刺すと、あっ治ったー」的なイメージ。
ブラックジャックの琵琶丸みたいな)。

確かにそうなる場合もあるのですが、
それはよくある医療ドラマなどにありがちな”夢は一瞬でかなう”的な感じで。

外科な処置(傷口を縫って治す)は置いておくとして、
人の身体はもっと複雑にからみあっているので、実際はそうは単純でないと思うのです。

たとえば全身身体が張ってたまらないという方がいて、
全身に鍼をすれば、それが取れるかというと必ずしもそうではないと思います。

そもそも鍼が何となく嫌だ、という気持ちのままでは全身の緊張が高まって、
筋肉がより固くなることも考えられます。
(交感神経亢進→血管の収縮↑→血流の低下→ATP減少→筋硬結完成→さらに交感神経亢進のループ)

こんなときは指圧マッサージをして、緊張が緩めば上記のサイクルから逃れられて、時間経過とともに血流改善し、自然に良くなって行く場合もあると思います。
これが調整後に「楽になりました」となって、翌日さらに「軽くなりました」となる一過程なのかな、と思います。
楽になったことによって不眠が解消し、食欲が増加すれば身体も良くなる。
これを称して「自然治癒力」と言ったりして。

要するに、鍼=速攻だから鍼という訳でなく、相手に合わせた臨機応変な対応が必要ではないか、と思う訳です。

身体は複雑にいろいろからみあっているので、こんなに一本調子に必ずしもいかないと思うのですが、だからこそ最近は相手との波長を合わせることを重視しています。

この話しを施術を受ける立場の知人と話していたら、
「そうなんですよ。何か相手のペースで、こうすれば治りますからと言われて、勝手にどんどん進んでいって落ち着かない」というようにすごく同意されました。

施術する側の人(少なくとも自分の周囲の人は)は、早く治してあげて負担を軽くしてあげたい、と思っている人が多いですし、私もそう思っています。
そのためにどうしても先走ってしまう感じがあります。

うまく口では言えないのですが、慌てずにきちんと相手と波長を合わせるようにすると、相手に適したペースや、どこを重視するのかが見えることがあります(まだまだ不完全ではありますが)。

なーんてことを考えていたら、先日1つのサイトに当たりまして。
このサイトに書いてあることが深すぎて、今までもやもやしていたことがつながった気がしました。
一言で言えば「勝つと思うな、思えば負けだ」みたいな感じです。
治療で言えば、「早く治そうと(治ろうと)するな、思えばいっそう治らなくなる」という感じですかね。
(もちろんコリなど速攻で取れるものもありますし、それが鍼灸や手技療法などの技術面の醍醐味だと思いますが、速攻で取れないものもあるということです)。

一応リンクを載せておきます。
http://yusb.net/col/777.html

治癒の速度はそれぞれなので、それに合わせて提案していければよいな、と思います。
(時間や財布の都合もありますしね)