鍼灸院のブログ

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偽科学と科学

巷に「トンデモ本」と呼ばれる、科学的に何の根拠もないことを追求する本があります。
医療においても、鍼灸などは人によっては「トンデモ」科学にに入ってしまうのでしょう。確かに、鍼やお灸は身体を傷つける行為であり、治癒につながらないという意見も分かるような気がします(でも果たして役に立たないものが残っているのかなー、という所はあるでしょう。ビデオ、ポケベル、MDなど多くの人が使っていたものは淘汰によって消えている訳ですし)。

ただ科学を標榜する人ほど、本当に科学的かと疑う面もあったりします。
たとえば風邪を引いて解熱剤を処方。これは科学的というか、熱が出たからその炎症を抑えるというか。すごく単純な行為にも見えるんですよね。
子供が「おでこ熱いね、冷やそう」と次元が変わらない気がします。
風邪の際の炎症が、ウィルスなどの外敵に対する防衛反応であり、だから安易に冷やすのは反応を止めることになる、というのはよく知られた話です。

ただここで言いたいのはそういうことでなく、風邪にも個人の生活習慣や体形や薬に対する感受性などの個人差があると思うのです。何人も風邪を引いている人がいるなら、それを年齢・男女差・体型などの基準で分類するのが科学的な考え方だと思うのです。

科学というのは、すでに証明されたことを唱え続けるのでなく、真理を追及するために実験・検証・証明していく過程の繰り返しだと思うのです。「科学」じゃないものを毛嫌いする人ほど、未知のことに「科学的な考え方」を取り入れることができないような気がします。
要するに、20年前のノートで授業をずっと続けている大学の先生みたいなものですね。

その一方で、やたらと科学を否定するのもどうかと思います。鍼灸の世界ではその拠り所を2000年前の古典に求めたりする学派もいます。昔の知恵を現代に生かすことは必ずしもおかしいことではないと思うのですが、それに完全に考え方の基を求めるのもどうかと思います。
料理の世界で電子レンジやオーブンがない昔のレシピで調理するのか。経済の世界で、古典の名著であるマルクスケインズを参考にするのもいいがそれだけでいいのか。他の世界で見れば、自明のことを、なぜ鍼灸業界の一部の人たちは昔に固執するのか、という面はあります。

一言で言えば政治的問題なのかなー、と思います。中身の議論でなく、自分の正しさをいかにして証明するか。ディベートって奴ですかね(違いますかね??、笑)。まあ自分がそれで飯を食ってきた技術・知識を、それが数十年に渡れば渡るほど、それを捨てて新しい考え方に移行していくというのは難しいと思います。
ただ鍼灸東洋医学に関しては、今は他業界からの優秀な人材が流入しているので、いずれそれなりの変化はあるような気がします。

本当の治療家さんは総じて、業種とかにこだわらず、いいものは取り入れるという姿勢を取っているような気がします。それは「人間」という未知のブラックボックスは未解明の部分が多い、治療に関して言えば「こうすればこうなる」なんてマニュアルどおりに行くほど簡単ではないということが、分かっているからだと思います。

治療院他、只今改装中でして、近々いろいろ企画する予定です。